諦めるを文語体にすると?口語表現の違いは?
普段は気づかないかもしれませんが、「諦める」という形は実は口語表現で、文語体では違った表現になります。
口語表現である「諦める」を文語体にするとどのような表現になるのでしょうか。
口語表現と文語表現の違い、両者の使い分け方についてもまとめましたので日本語の基礎知識を深めるうえで役立ててください。
【「諦める」の文語表現と活用形について】
「諦める」は近代以降に使われはじめた口語表現であり、文語体では「諦む」という表現になります。
時代劇などでよく使われる「諦めぬ」は「未然形+ぬ」という活用となり、口語表現でいうと「食べない」、「書かない」などと同じ形になります。
なお、「諦めん」というのは「諦めようとする」という意味になり、正確な文語体ではないもののやや堅苦しい言い方になります。
かつての日本では「言文不一致」といい、話し言葉と書き言葉が明確に区別されていました。
しかし、小説家の二葉亭四迷が広めた「言文一致運動」によって両者の境界線があいまいになり、「文語体=古めかしい言い方」というイメージが一気に定着しました。
【口語表現をきちんと使い分けられる?「諦める」と挫折の違い】
「諦める」とよく似ている言葉として、挫折があります。
たとえば、「夢を諦める」という言い方を「夢を挫折する」と置き換えても意味は変わらないような気がしますが、口語表現のレベルで見れば明確な違いがあり、状況に合わせて適宜使い分けていく必要があります。
一般的に、大きな目標などにつまずいた場合は「挫折する」を使い、それよりももっと日常的にちいさな欲求や希望に見切りをつける場合はたんに「諦める」のほうを選ぶのが自然であると言われています。
語感で考えると、「諦める」はネガティブなイメージを感じさせますが、挫折にはくじける、という漢字が使われているように、より大きな目標を見つけるまでの準備期間、というポジティブなイメージが感じられます。
挫折以外に「諦める」とニュアンスの似ている言葉としては、見切りをつける、投げ出す、さじを投げる、などが挙げられます。
近代以降の日本では文語体と口語体の違いを意識することはほとんどありませんが、かしこまった印象を与えたい場合には文語体をおりまぜると効果的で、文章や会話にも緊張感をもたせることができます。
論文を書いたり小説を読みこなしたりするために、文語体と口語体についてきちんと把握しておくと知識が広がりますし、教養を深めることにつながります。
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